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楊柳の枝の詞

2018.10.12

煬帝行宮汴水浜

数枝楊柳不勝春

晩来風起花如雪

飛入宮牆不見人

 

七七二年生まれの劉禹錫(りゅううしゃく)の「楊柳(ようりゅう)の枝の詞(うた)」。

 

■読みと解釈

煬帝行宮汴水浜

煬帝(ようだい)の行宮(あんぐう)は汴水(べんすい)の浜(ほとり)

[煬帝の仮の御所は汴水の岸辺にあり]

 

数枝楊柳不勝春

数枝の楊柳は春に勝(た)えず

[何本かの枝の楊柳は春の趣きに我慢できぬ]

 

晩来風起花如雪

晩来(ばんらい)風起こり花は雪の如(ごと)し

[暮れ方に風が吹き白い綿毛は雪のよう]

 

飛入宮牆不見人

飛んで宮牆(きゅうしょう)に入るも人を見ず

[飛んで仮の御所の塀の中に入るが誰一人いない]

 

 

■注目点

作者の感慨に注目。

この詩は楊柳の枝を借りて、煬帝の栄枯盛衰、諸行無常を詠む。

煬帝は唐直前の隋の帝王。煬帝は南北を繋ぐ運河を造り、川岸には楊柳を植え、万里の長城を増築し、栄華を極めた帝王。

楊柳は初春に黄金色の芽を出して春到来を告げ、晩春に綿となって乱れ飛び、春終了を告げる。楊柳は春到来と春終了を告げる木。

暮れ方に風に飛び散る、楊柳の白い綿毛。それを雪に見立て、風に乗って仮の御所の塀の中に飛び込む。塀の中には誰一人いない。居て欲しいのは帝王の煬帝。二百年以上も前のこと。居るはずはない。その姿、光景を劉禹錫は感慨を持って詠む。

 

《PN・帰鳥》