山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

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梅の花

2018.01.19

墻角数枝梅

凌寒独自開

遥知不是雪

為有暗香来

 

一〇二一年生まれの王安石(おうあんせき)の「梅の花」。

 

■読みと解釈

墻角数枝梅

墻角(しょうかく)の数枝の梅は

[囲いの片隅の何本かの梅の花は]

 

凌寒独自開

寒さを凌(しの)ぎ独り自(みずか)ら開けり

[寒さに打ち勝ち自力で咲いた]

 

遥知不是雪

遥かに知る 是(こ)れ雪ならずと

[遠くから雪ではないと判った]

 

為有暗香来

暗香(あんこう)の来たる有るが為(ため)なり

[密かに漂う香りがやって来たからだ]

 

 

■注目点

嗅覚で梅の花を詠むことに注目。

梅は春到来を告げる花。色は白や紅。高い香りを放つ。清楚で気品ある花。

梅の花は寒い寒い冬の寒さに打ち勝ち、自力で蕾を押しあけ咲いた。咲いたばかりの梅の花のある場所は囲いの片隅。囲いの内からも外からも見ることができるのだが、王安石は遠くから見ている。余りに遠過ぎて、花そのものは見えない。しかし白いものが見える。白いが雪ではない。何だろうと、訝しがる。暫くすると香りが漂って来た。深呼吸して香りを体内に入れる。その香りは何と何と梅の香りではないか。

梅の花の価値は花そのものより、花の香りにある。「暗香」の語に言い尽くす詩である。

 

《PN・帰鳥》