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梁苑

2018.07.06

梁苑秋竹古時煙

城外風悲欲暮天

万乗旌旗何処在

平台賓客有誰憐

 

七五五年頃亡くなった王昌齢(おうしょうれい)の「梁苑(りょうえん)」。梁苑は漢代の梁の孝王が造った庭園。

 

■読みと解釈

梁苑秋竹古時煙

梁苑は秋の竹に古時(こじ)の煙

[梁庭園に今あるは秋の竹に昔の靄(もや)]

 

城外風悲欲暮天

城外は風悲しく暮れんと欲するの天

[宮殿外に今あるは悲しい風に夕暮れ]

 

万乗旌旗何処在

万乗(ばんじょう)の旌旗(せいき)は何(いず)れの処(ところ)にか在る

[天子並みの旌(のぼり)と旗は今はどこに在るのか]

 

平台賓客有誰憐

平台(へいだい)の賓客(ひんかく)は誰ありてか憐(あわ)れまん

[高殿で興じる連中の誰が憐れんでくれる]

 

 

■注目点

起承転結構成に注目。

この詩は漢代の皇族の一人、梁の孝王より約九百年後、孝王の築いた梁庭園に来た作者が感慨を詠む。

起句の題材は秋竹と秋煙。昔と変わらぬ景を詠む。承句の題材は秋風と秋天。昔と変わる景を詠む。転句の題材は万乗の旌旗。昔と変わる情を詠む。結句の題材は高殿の連中。昔と変わる情を詠む。起句と承句は景を、転句と結句は情を詠む。

この構成で約九百年前の梁庭園の、変わらぬ景、変わる景、変わる情を詠み、今の世にあるのは梁庭園の名のみで、当時の姿は何一つない。人の世の千変万化、諸行無常、盛者必衰を訴える。

 

《PN・帰鳥》