山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

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桃葉の歌

2016.04.01

桃葉復桃葉
渡江不用楫
只渡無所苦
我自迎接汝

 

三四四年生まれの王献之(おうけんし)の「桃葉(とうよう)の歌」。桃葉は愛人の名。

 

■読みと解釈
桃葉復桃葉
桃葉よ復(ま)た桃葉よ
[桃葉よ 桃葉よ]

 

渡江不用楫
江を渡るに楫(かい)を用いず
[江(かわ)を渡るに楫は使えぬ]

 

只渡無所苦
只(た)だ渡れ 苦とする所無かれ
[ただ渡るだけだ心配するな]

 

我自迎接汝
我は自ら汝(なんじ)を迎接(げいせつ)せん
[私がお前を迎えに行こう]

 

■注目点
愛人桃葉に対する王献之の思いに注目。
愛人桃葉に「桃葉よ」と2回呼びかける。2回呼びかけるのは、3回、5回、10回呼びかけるのと同じ。何度も何度も呼びかける。それはなぜ。理由は2つ。
1つは愛人桃葉が愛しいから。もう1つは愛人桃葉を心配しているから。江向こうにいる愛人桃葉は、江が荒れ狂い、楫で舟を漕ぎ、王献之のいるこちらへ来ることができぬ。
愛しく、心配するのは、王献之だけではない。愛人桃葉も同じ。桃葉の思いが判る王献之は、思いを口にする。「こちらへ来ることだけだ。お前が来れぬなら、私が迎えに行く。心配することは何もない。安心して待っていろ」。
愛人桃葉に対する王献之の思いを、荒れ狂う江を設定し、優しく力強く語りかける一途な思い。桃葉はどんな思いで、受け止めたでしょうか。

 

《PN・帰鳥》