山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

お問い合わせはこちら

桃花の谿

2017.05.12

隠隠飛橋隔野煙

石磯西畔問漁船

桃花尽日随流水

洞在清谿何処辺

 

唐の張旭(ちょうきょく、生没年不詳)の「桃花の谿(たに)」。

 

■読みと解釈

隠隠飛橋隔野煙

隠隠(いんいん)たる飛橋(ひきょう)は野煙(やえん)を隔て

[遠く霞んで見える高い懸け橋は野の霞に邪魔され]

 

石磯西畔問漁船

石磯(せきき)の西畔(せいはん)にて漁船に問う

[石の多い河原の西側の汀で船にいる漁師に問う]

 

桃花尽日随流水

桃花は尽日(じんじつ)流るる水に随(したが)うも

[桃の花は朝から晩まで水の流れのままに流れているが]

 

洞在清谿何処辺

洞(どう)は清谿(せいけい)の何(いず)れの処の辺(あた)りにか在らん

[桃源洞は清らかな谷川のどの辺りにあるのだろうか]

 

 

■注目点

桃の花に注目。

本詩は陶淵明(とうえんめい、三六五~四二七)の「桃花源の記」の翻案。

桃の花は漁師を別天地へ誘う。漁師は船に乗り、桃の花に誘われ、上流へ上流へと漕ぎ進む。石の多い河原の西側の汀に繋いだ船から、遠く霞む谷に懸かる橋を眺める漁師に問う。

「桃の花は休むことなく、逆らうことなく、流れに任せ、淡々と流れ続けているが、別天地の桃花に入る洞穴は何処にある」と。

平和な別天地。俗世間とは無縁な別天地。其処へ連れて行くのは桃の花。

 

《PN・帰鳥》