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杭州の虚白堂に宿泊

2015.09.25

秋月斜明虚白堂

寒蛩喞喞樹蒼蒼

江風徹暁不得睡

二十五声秋点長

 

八〇〇年頃の李郢(りえい)が「杭州(こうしゅう)の虚白堂(きょはくどう)に宿泊」した時の詩。杭州は長江下流域の地。

 

■読みと解釈

秋月斜明虚白堂

秋月は斜めにして虚白堂に明るく

[秋の月は斜めに射して虚白堂に明るく輝き]

 

寒蛩喞喞樹蒼蒼

寒蛩(かんきょう)は喞喞(そくそく)たり樹は蒼蒼たり

[心細い蟋蟀は喧しく鳴き樹木は鬱蒼としている]

 

江風徹暁不得睡

江風は暁(あかつき)に徹して睡(ねむ)るを得ず

[長江の風は夜明けまで吹いて眠られず]

 

二十五声秋点長

二十五声 秋点(しゅうてん)は長し

[二十五回鳴る鐘は秋の鐘が長く思われる]

 

■注目点

宿泊所の題材に注目。

宿泊所の虚白堂は僧堂。寺院です。秋の月が寺院に射しこみ、皓々と照らしている。真上からではなく、斜めに照らしている。

秋月と虚白。李郢の心中を覗いている。そう思われる題材。

蟋蟀が鳴いている。心細いが喧しい。秋も深まり、少ない命で精一杯鳴いている。蟋蟀に比べ、樹木は鬱蒼としている。対比の題材。

こうした寺院を宿とした李郢。明け方まで時を告げる鐘の音が、ひと晩で二十五回。四季のうち今の秋が最多。秋の夜長。一睡もできぬ題材。

一睡もできぬのは、宿泊所が寺院。無関係ではあるまい。

 

《PN・帰鳥》