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李曄が常州へ赴任するのを送る

2012.02.10

雪晴雲散北風寒
楚水呉山道路難
今日送君須尽酔
明朝相憶路漫漫

 

作者は七一八年生まれの賈至(かし)。題は「李曄(りよう)が常州(じょうしゅう)へ赴任するのを送る」。

 

■読みと解釈
雪晴雲散北風寒
雪は晴れ雲は散じ北風は寒し
[雪は晴れ雲は散り北風は寒い]

 

楚水呉山道路難
楚水(そすい)呉山(ござん)道路は難し
[楚の川も呉の山も道路は難儀なことだ]

 

今日送君須尽酔
今日君を送る須(すべか)らく酔いを尽くすべし
[今日君を送ることになった存分に酔ってくれたまえ]

 

明朝相憶路漫漫
明朝相(あ)い憶(おも)うも路は漫漫(まんまん)たり
[明日の朝思いあっても路は遠く隔たってしまうのだ]

 

 

■注目点
北風吹く雪の晴れ間。李曄は楚・呉を通過し、常州へ赴任する。地理的に言えば、揚子江の中流から下流へ下るのです。その李曄を送る作者の心情に注目。
雪・雲・北風・水・山―作者はこれらの景に李曄を送る心情を託しているようです。
寒い寒い冬と難儀な道路。李曄の赴任は左遷かもしれません。作者は李曄の心情をよく承知しているのではないでしょうか。
今日別れたら明日はもう会えない。別れを惜しむ最後の酒。互いに杯を重ね、飲むほどに酔うほどに、過去のこと、将来のことを語り、時だけが過ぎたのではないでしょうか。
北風寒い別れの酒。

 

《PN・帰鳥》