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木蘭柴

2011.11.04

秋山斂余照
飛鳥逐前侶
彩翠時分明
夕嵐無処所

 

六九九年生まれの王維(おうい)の「木蘭柴(もくらんさい)」。木蘭柴は木蘭を植えた柴(囲い)。

 

■読みと解釈
秋山斂余照
秋の山は余照(よしょう)を斂(おさ)め
[秋の山は西空に残る光を取りこんでしまい]

 

飛鳥逐前侶
飛ぶ鳥は前侶(ぜんりょ)を逐(お)う
[飛ぶ鳥は前を行く連れを追っかけている]

 

彩翠時分明
彩翠(さいすい)は時に分明(ぶんめい)にして
[美しい樹木の翠(みどり)は今こそはっきりし]

 

夕嵐無処所
夕嵐(せきらん)は処所(しょしょ)無し
[夕暮れのもやは居所がない]

 

 

■注目点
この詩は木蘭柴から見た周囲の風景を詠んでいる。詠み方に注目。
秋の夕暮れの風景。
題材は秋の山、飛ぶ鳥、樹木の翠、夕暮れのもやの四つです。
秋の山が光を取りこむ。明から暗へ。秋の山は意志を持ち、いかにも人間的です。
飛ぶ鳥が連れを追っかける。活動から休息へ。飛ぶ鳥もまた意志を持ち、いかにも人間的です。
樹木の翠。西空に残る光で、樹木の翠が翠を増す。翠の樹木は人間のようにも見えます。
夕暮れのもや。居所がなく、姿を消してしまう。夕暮れのもやもまた、人間のようにも見えます。
作者は四つの題材に真理を追究する思いを重ねているのでは。読み過ぎでしょうか。

 

《PN・帰鳥》