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書堂にて飲み、既に夜にして復た李尚書を邀え、馬より下りて月の下に賦す

2019.04.19

湖月林風相与清

残尊下馬復同傾

久拌野鶴如双鬢

遮莫鄰鶏下五更

 

 七一二年生まれの杜甫(とほ)の「書堂にて飲み、既に夜にして復た李尚書(りしょうしょ)を邀(むか)え、馬より下りて月の下に賦(ふ)す」。書堂は書斎。李尚書。李は姓。尚書は中央官庁の役人。

 

読みと解釈

湖月林風相与清

 湖月も林風も相い与(とも)に清く

[湖面の月明かりも林間を揺り動かす風も共に清々しく]

 

残尊下馬復同傾

 残尊(ざんそん)あれば馬より下りて復た同(とも)に傾けり

[残りの酒があるので馬から下り再び一緒に飲んだ]

 

久拌野鶴如双鬢

 久しく野鶴(やかく)の双鬢(そうびん)の如(ごと)くなるを拌(す)つ

[左右の鬢が野の鶴のように白くなるのは久しく構わなかった]

 

遮莫鄰鶏下五更

 遮莫(さもあれば)あれ鄰鶏(りんかく)の五更(ごこう)を下ぐるは

[どうでもいい 近くの鶏が夜明けの時を告げるのは]

 

 

注目点

 杜甫の酒に注目。

 詩題によると、杜甫は先ず書斎で飲み、夜に月明かりの下でもう一度飲む。二回飲む。

 二回の酒で注目すべきは三句目と四句目。二句共に、杜甫は自分を擁護し、他人を非難する。杜甫が打ち捨てるのは、左右の鬢が白髪になることだけではない。世の中の事も打ち捨てる。飲み残りの酒を飲む。世の中の事を思えば、何もできぬ。世の中の人よ、構わないでくれ。我は我が生き方をする。杜甫の酒。李白に劣らぬ。仰天。

 

《PN・帰鳥》