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曲江の春の草

2016.04.15

花落江堤蔟暖煙
雨余草色遠相連
香輪莫輾青青破
留与愁人一酔眠

 

八四二年頃生まれの鄭谷(ていこく)の「曲江(きょくこう)の春の草」。曲江は首都長安の東南隅の池。

 

■読みと解釈
花落江堤蔟暖煙
花は江堤(こうてい)に落ち暖煙(だんえん)は蔟(むら)がり
[花は曲江の土手に散り落ち春の靄が群がり]

 

雨余草色遠相連
雨余(うよ)の草の色は遠く相い連なる
[雨上がりの草の色は遠くまで続いている]

 

香輪莫輾青青破
香輪(こうりん)は青青たるを輾(きし)り破ること莫(な)かれ
[貴族の乗った車は青々した春の草を轢(ひ)きつぶしてはならぬ]

 

留与愁人一酔眠
愁いの人に留め与え一たび酔眠せしめよ
[愁いある我に残してくれ一度だけ草の上に酔っ払い眠らせてくれ]

 

■注目点
言いたいことは何か。
首都長安の東南隅にある曲江。池の土手には草木を植え、色とりどりの花が咲き、池近くには天子の離宮や寺院もあり、天子、貴族、庶民ら、あらゆる人が集まる行楽地である。

曲江はいま晩春。花が終わり、靄が立ち込め、すっきりしない景。春雨の後の曲江の見ごたえは草。冬の寒さに堪えていた芽がふき、青々した草の色。すっきりした景。

すっきりした景を壊す連中がいる。高級車に乗る貴族連中。我が物顔で青々した草を轢きつぶす。愁いある我は青々した草の上で、酔っ払い寝たいのだ。ささやかな我が願いだ。鄭谷は連中を怒り憎む。

 

《PN・帰鳥》