山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

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暮江の吟

2011.09.09

一道残陽舗水中
半江瑟瑟半江紅
可憐九月初三夜
露似真珠月似弓

 

七七二年生まれの白居易(はくきょい)の「暮江(ぼこう)の吟」。暮江は夕暮れの川。吟は歌。

 

■読みと解釈
一道残陽舗水中
一道(いちどう)の残陽(ざんよう)は水中に舖(し)き
[ひと筋の夕日が水の中に敷きつめられ]

 

半江瑟瑟半江紅
半江(はんこう)は瑟瑟(しつしつ)たり半江は紅(くれない)なり
[川の半分は濃い緑色に川の半分は紅色に]

 

可憐九月初三夜
可憐(かれん)なり九月初三(しょさん)の夜
[美しいことよ 九月三日の夜は]

 

露似真珠月似弓
露は真珠に似(に)て月は弓に似たり
[露は真珠のようで月は弓のよう]

 

 

■注目点
夕暮れの川。その風景をどう歌うかに注目。
歌う季節は九月。初三だから初旬の三日。陰暦九月三日の歌です。
作者はまず水中の風景に注目します。水の中を見ると、夕日がひと筋、射しこんでいる。よくよく見ると、川の半分は濃い緑色、川の半分は紅色。色の違いを発見。紅色は夕日の色で、濃い緑色は日影の色でしょうか。
作者は次に地上と天空の風景に注目します。地上の露と天空の月です。露は真珠。光沢のある玉です。月は弓。弓なりの三日月です。
水の中に射しこんでいる夕日は、三日月だったのです。夕暮れの川の風景。技巧を凝らさぬ、細やかな観察です。

 

《PN・帰鳥》