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暮れに立つ

2010.11.26

黄昏独立仏堂前
満地槐花満樹蝉
大抵四時心総苦
就中腸断是秋天

 

詩の題は「暮れに立つ」。作者は七七二年生まれの白居易(はくきょい)。

 

■ 読みと解釈
黄昏独立仏堂前
黄昏(こうこん)独り立つ仏堂の前
[たそがれ時ただ独り仏堂の前に立つ]

 

満地槐花満樹蝉
地に満つる槐花(かいか)樹に満つる蝉
[地面いっぱい槐(えんじゅ)の花びら 樹いっぱい蝉の声]

 

大抵四時心総苦
大抵(たいてい)四時心総(すべ)て苦しきも
[およそどの季節も心中苦しみ悩むが]

 

就中腸断是秋天
就中(なかんずく)腸の断たるるは是(こ)れ秋天
[とりわけ腸(はらわた)がちぎれるのは秋の季節]

 

 

■ 注目点
立つ場所が仏堂の前。立つ時刻が暮れのたそがれ時。何を思って仏堂の前に立つのか。立つ時刻がなぜたそがれ時なのか。ここに注目。
この詩は作者四十歳の時の作で、時に母を亡くし、郷里で喪に服していたと言う。
たそがれ時は人の見分けがつかぬ時刻。連れはなく、ただ独り仏堂の前に立つ作者。
仏堂の辺り一面、槐の白い花びら、樹々には蝉の鳴き声。この光景。仏前の供花、読経の声では。想像はふくらみます。
春夏秋冬。人は心中苦しみ悩む。苦しみ悩むのは、仏陀の言う四苦八苦なのでしょうか。
作者は秋のたそがれ時、仏堂の前で苦しみ悩むのです。

 

《PN・帰鳥》