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暑さを山園に避く

2012.08.03

残杯移傍水辺亭
暑気衝人忽自醒
最喜樹頭風定後
半池零雨半池星

 

この詩の作者は王世貞(おうせいてい)。生まれは一五二六年。政治家で文人。詩の題は「暑さを山園に避く」(山荘に避暑する)。避暑の詩です。

 

■読みと解釈
残杯移傍水辺亭
残杯をば移して水辺の亭に傍(そ)うも
[酒の残った杯を抱えて水辺のあずまや付近に移動したが]

 

暑気衝人忽自醒
暑気は人を衝(つ)き忽(たちま)ち自(おの)ずから醒(さ)めたり
[暑さはわたしに襲いかかり酔いはすぐ自然に醒めてしまった]

 

最喜樹頭風定後
最も喜ぶは樹頭(じゅとう)風定(さだ)まりし後
[最も喜ばしいのは樹木の枝々に吹く風がすっかり収まった後]

 

半池零雨半池星
半池(はんち)の零雨(れいう)半池の星
[池の半分には小雨が降り池の半分には星が映ること]

 

 

■注目点
避暑地は山荘。山荘には樹々があり、池があるようです。
酒を飲んでいた作者の王世貞は、暑さをしのごうと涼を求め、飲み残しの杯を持って、水辺に移動します。移動しても暑さは収まらず、却って暑さにやられ、酔いが醒めてしまいます。
もっともっと酔っていたかったかもしれない王世貞は、風が収まった後、眼前の池の半分に小雨が降り、残りの半分に星が映って欲しい。それが最高の喜び。
山荘に避暑に来た王世貞はそう願うのです。

 

《PN・帰鳥》