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晁卿衡を哭す

2013.01.25

日本晁卿辞帝都
征帆一片繞蓬壷
明月不帰沈碧海
白雲愁色満蒼梧

 

七〇一年生まれの李白(りはく)の「晁卿衡(ちょうけいこう)を哭(こく)す」。晁卿衡は阿倍仲麻呂のこと。哭すは死を悼む。
仲麻呂は遣唐使として中国に渡り、後に帰国するため乗った舟が転覆し、死んだと伝えられた。これを詠んだのがこの詩。

 

■読みと解釈
日本晁卿辞帝都
日本の晁卿は帝都を辞し
[日本の晁卿衡は都の長安を去り]

 

征帆一片繞蓬壷
征帆の一片は蓬壷(ほうこ)を繞(めぐ)る
[一艘の帆かけ舟は蓬莱島を回って行く]

 

明月不帰沈碧海
明月は帰らずして碧海(へきかい)に沈み
[輝く月は日本へ帰らず青海原に沈没し]

 

白雲愁色満蒼梧
白雲は愁色にして蒼梧(そうご)に満てり
[白い雲のもの寂しさは南の空に満ちている]

 

 

■注目点
仲麻呂の死。李白がどう詠むかに注目。
詩中の帝都は唐の都長安。蓬壷は北方の蓬莱島のこと。碧海は青海原。蓬莱島のこと。蒼梧は南方の地。
仲麻呂が長安を去ったのは、七五三年、五十六歳の時。三十六年ぶりの帰国。南方の蘇州で乗った小舟は、北方の蓬莱島で暴風雨に遭い転覆。
明月は帰らずの明月は、実は仲麻呂のこと。仲麻呂は日本に帰らず、北方の蓬莱島で沈没し、舟に乗った南方には白い雲が満ち満ちている。
このとき仲麻呂は死なず、再び長安で暮らすのだが、李白はこの詩を作り、仲麻呂の死を悼んだのです。

 

《PN・帰鳥》