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春行して興を寄す

2011.04.08

宜陽城下草萋萋
澗水東流復向西
芳樹無人花自落
春山一路鳥空啼

 

七六六年に亡くなった李華(りか)の「春行して興(きょう)を寄す」。春に散歩し感興を傾ける。

 

■読みと解釈
宜陽城下草萋萋
宜陽(ぎよう)の城下 草は萋萋(せいせい)たり
[宜陽の街辺りは草が生い茂り]

 

澗水東流復向西
澗水(かんすい)は東流して復(ま)た西に向かう
[谷川の水は東へ流れまた西へ向かう]

 

芳樹無人花自落
芳樹(ほうじゅ)には人無く花は自(おのずか)ら落ち
[かぐわしい樹木には誰もおらず花は自然に落ちており]

 

春山一路鳥空啼
春山の一路 鳥は空(むな)しく啼(な)く
[春の山の道には鳥がむなしく啼いている]

 

 

■注目点
春の散歩でどんな感興を催したのか。注目点はここ。
宜陽は河南省の洛陽付近の街の名。作者はここを散歩している。
春の時節のこの辺りは、草が生い茂り、谷川があり、樹木があり、鳥が啼いています。
草が生い茂り、谷川の水が東へ西へ流れる。この営みは時が経っても不変。そう言いたいようです。
かぐわしい樹木には誰かが近寄るはずなのに、誰もいない。花は誰かが愛でるはずなのに、自然に落ちる。鳥は誰かが聞くはずなのに、空しく啼いている。この営みは変。そう言いたいようです。
作者は春の街を散歩し、不変と変に感興を催したのでは――。

 

《PN・帰鳥》