山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

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春寒し

2012.03.09

梅枝幾処出籬斜
臨水掩扉三四家
昨日寒風今日雨
已開花羨未開花

 

一八〇七年生まれの広瀬旭荘(きょくそう)の「春寒し」。旭荘は淡窓の弟。

 

■読みと解釈
梅枝幾処出籬斜
梅の枝は幾所(いくしょ)か籬(まがき)を出(い)でて斜めなり
梅の枝が何か所か垣根から斜めに出ている

 

臨水掩扉三四家
水に臨んで扉(とびら)を掩(とざ)す三四の家
水辺の三、四軒の家は扉を閉めている

 

昨日寒風今日雨
昨日は寒風 今日は雨
昨日は寒風が吹き今日は雨が降っている

 

已開花羨未開花
已(すで)に開く花は未だ開かざる花を羨(うらや)む
開いてしまった花はまだ開いていない花を妬んでいる

 

 

■注目点

春の寒さをどう表現しているかに注目。
舞台は水辺の村。春の水は冷たい。この村は昨日は寒風が吹き、今日は雨が降っている。風と雨。そのために水辺の数軒は扉を閉めている。寒くて、寒くてどうしようもない。
寒ければ人は家に閉じこもればいい。しかし、閉じこもることができぬ物がある。
梅です。梅の枝がまっ直ぐではなく、斜めなのは寒さのせいでしょう。開いてしまった梅の花が、まだ開いていない梅の花を妬む。梅の花を人間にみたてた擬人法です。
春の寒さを妬む梅の花。早く咲いたことを後悔している。この表現、味がありませんか。

 

《PN・帰鳥》