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春を讃える

2015.11.20

芳草和煙暖更青

間門要路一時生

年年点検人間事

惟有春風不世情

 

唐の羅鄴(らぎょう)の「春を讃える」詩。

 

■読みと解釈

芳草和煙暖更青

芳草は煙(かすみ)に和し暖かくして更に青く

[薫る春草は霞と合い陽射しを受け一層青く]

 

間門要路一時生

間門(かんもん)にも要路にも一時に生ず

[無職であれ役人であれ春草は同時に生える]

 

年年点検人間事

年年人間(じんかん)の事を点検するに

[何年も何年も人の世の事を点検していると]

 

惟有春風不世情

惟(た)だ春風は世情ならざる有るのみ

[春風だけは世間の人情とは違っているのだ]

 

■注目点

春の何を讃えているのかに注目。

この詩の題材は春草と春風。

春草を讃えるのは匂いと色。匂いは芳しい薫り。色は青。芳しく青いのは霞のせい。春草は霞としっくり調和し、春の暖かな陽射しを受けると、一層青くなる。春草に焦点を当て春を讃える。

春風を讃えるのは情。春風の情は世間の情とは違う。春風の情は公平無私だが、世間の情は不公平有心。自然の情は無欲の固まりだが、人間の情は欲望の固まり。

春草であれ、春風であれ、無職とか役人とか区別せず、同時に生えたり、吹いたりする。これは毎年毎年、時間と労力をかけ、点検した成果。

春草に吹く春風。人間界はドロドロしていても、自然界はスッキリしている。この対比に注目。

 

《PN・帰鳥》