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春の怨み

2015.01.23

打起黄鶯児

莫教枝上啼

啼時驚妾夢

不得到遼西

 

唐代の金昌緒(きんしょうしょ・生没年不詳)の「春の怨み」。

 

■読みと解釈

打起黄鶯児

黄鶯児(こうおうじ)を打起(だき)し

[高麗鶯(こうらいうぐいす)を追い払い]

 

莫教枝上啼

枝の上にて啼(な)かしむる莫(な)かれ

[枝の上で啼かせるな]

 

啼時驚妾夢

啼く時は妾(わらわ)が夢を驚かせ

[啼くと私めの夢をびっくりさせ]

 

不得到遼西

遼西(りょうせい)に到るを得ず

[遼西に行くことができぬ]

 

 

■注目点

どんな春の怨みを詠むかに注目。

季節は春。高麗鶯は春告げ鳥。春の象徴。登場人物は妾。女です。

遼西は北方の河北省、熱河省一帯。唐王朝の領土外で外敵の地。

妾は外敵の地の遼西に行きたい。行きたいのはなぜ。会いたい人がいるから?その人は誰。夫では。夫は外敵の地で何をしている。外敵と戦う兵士では。妾は自宅で留守番。夫は外敵の地で兵士。離れ離れの暮らし。

妾は夫に会いたくて会いたくて仕方ない。現に会うのは不可能。夢ならば可能。妾は夫を夢に見る。だが高麗鶯が啼き、夢を妨げる。高麗鶯は邪魔。邪魔されず夢を見たい。追い払い、啼かせるな、と命じる。

妾は何を怨んでいるのか。高麗鶯?夫?唐王朝?自分自身?

何も怨まず生きたい。この思い。なかなか遂げられぬのが現実。

 

《PN・帰鳥》