山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

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春の思い

2016.02.12

雪罷枝即青
氷開水便緑
復聞黄鳥声
全作相思曲

 

四六四年生まれの王僧孺(おうそうじゅ)の「春の思い」。

 

■読みと解釈
雪罷枝即青
雪罷(や)めば枝は即(すなわ)ち青く
[雪が終わると樹木の枝はすぐに青くなり]

 

氷開水便緑
氷開けば水は便(すなわ)ち緑なり
[氷が解けると川の水はすぐに緑になる]

 

復聞黄鳥声
復(ま)た聞くは黄鳥(こうちょう)の声
[聞こえてくるのは高麗鴬(こうらいうぐいす)の鳴き声が]

 

全作相思曲
全(まった)く相思の曲を作(な)すを
[完全に相思相愛の曲になっていること]

 

 

■注目点
春に何を思うのか。ここに注目。
雪と氷は冬の景。青と緑は春の景。樹木の枝に降りた雪。雪が終わると、枝は青く芽吹き、春となる。川面に張った氷。氷が解けると、水は緩み、春となる。季節は冬から春へ。これは視覚の景。
高麗鴬の鳴き声。鴬は春の鳥。春になり、雄も雌も、互いを求め合い、愛し合い、鳴いている。相思相愛の恋の鳴き声です。

雪が終わり、氷が解け、枝が青くなり、水が緑になる。自然の春景色を詠む所に、主題があるのでしょうか。それとも春の鳥たちが恋の曲を奏している所に、主題があるのでしょうか。
春は万物が変化する季節。万物の変化に応じて、人恋しくなる。恋の曲を奏する高麗鴬を借りて、人恋しさを思う。これが春に思うことでは。

 

《PN・帰鳥》