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春の思い

2012.03.30

草色青青柳色黄
桃花歴乱李花香
東風不為吹愁去
春日偏能惹恨長

 

七一八年生まれの賈至(かし)の「春の思い」。

 

■読みと解釈
草色青青柳色黄
草の色は青青(せいせい)として柳の色は黄なり
[草の色は青青と茂り柳の色は黄ばんでいる]

 

桃花歴乱李花香
桃の花は歴乱(れきらん)して李(すもも)の花は香ばし
[桃の花は咲き乱れ李の花はいい香りがする]

 

東風不為吹愁去
東風は為(ため)に愁いを吹き去らず
[春の風は私のために(心中にある)愁いを吹き去ってくれず]

 

春日偏能惹恨長
春日は偏(ひと)えに能(よ)く恨みを惹(ひ)いて長し
[春の日はまったく私の恨みを引き起こして長くしている]

 

 

■注目点
題の春の思い。その中身に注目。
初めの2句は草の色と柳の色、桃の花と李の花の対比。これは春の思いではなく、春の景です。四つの植物を題材として、春爛漫の景を詠みます。
終わりの2句は東風と春日の対比。この2句に春の思いが詠まれます。
東風は元来物を吹き散らす存在。わが心中にある愁い。なのに東風はわが愁いを吹き散らしてくれない。
春日は元来物を短くしてくれる存在。わが心中にある恨み。なのに春日はわが恨みを長くしてしまう。
春の景はちゃんとしているのに、春の思いはちゃんとしていない。作者は苦悩します。

 

《PN・帰鳥》