山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

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春の夜に友人に別る

2016.10.21

銀燭吐青烟

金尊対綺筵

離堂思琴瑟

別路繞山川

明月隠高樹

長河没暁天

悠悠洛陽去

此会在何年

 

六六一年生まれの陳子昴(ちんすごう)の「春の夜に友人に別る」。友人の名は不明。

 

■読みと解釈

銀燭吐青烟

銀燭(ぎんしょく)は青烟(せいえん)を吐き

[銀色の灯火は青い煙を吐き出し]

 

金尊対綺筵

金尊(きんそん)は綺筵(きえん)に対す

[黄金の酒樽は錦の筵(むしろ)に向き合う]

 

離堂思琴瑟

離堂にて琴瑟(きんしつ)を思えば

[別れの席で琴や瑟を思うと]

 

別路繞山川

別路にて山川を繞(めぐ)る

[別れの道で(琴や瑟が)山や川を動き回る]

 

明月隠高樹

明月は高樹(こうじゅ)に隠れ

[明月は高い樹の陰に隠れ]

 

長河没暁天

長河は暁天(ぎょうてん)に没す

[銀河は明け方の空に消える]

 

悠悠洛陽去

悠悠として洛陽(らくよう)に去らば

[遥か遠く洛陽に去り行けば]

 

此会在何年

此の会は何(いず)れの年にか在らん

[こんな会は何年後にできようか]

 

 

■注目点

別れの席での作者の思いに注目。

この詩は作者が友人との別れを詠むのだが、今は友人は留まり、別れ行くのは作者の詩として読む。こうした読み方は送別詩とは言わず、留別詩と言う。

出発地は不明だが、作者の行く先は洛陽。洛陽は当時の副都。

別れの席を作ったのは、作者を見送る友人。席には銀色の灯火。黄金の酒樽。楽器の琴瑟。別れの席は豪華。

灯火を灯す時刻から、銀河が明け方の空に消える時刻まで。別れの席は長時間。

豪華で長時間、洛陽に行く作者は友人と過ごす。友人に感謝しつつ、思いは洛陽へ。遥か彼方の洛陽へ。友人と別れてしまえば、次に会えるのは何時。何日後?何年後?二度と再び会えぬかもしれぬ。

留別詩として読んだが、送別詩として読めば、別れの席を作ったのは作者。どんな詩となる。

 

《PN・帰鳥》