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春に眺める詞

2018.10.05

風花日将老

佳期猶渺渺

不結同心人

空結同心草

 

七七〇年頃生まれの薛濤(せつとう)の「春に眺める詞(うた)」。

 

■読みと解釈

風花日将老

風花(ふうか)は日に将(まさ)に老いんとするも

[風に散る花は日に日に老いてゆくようだが]

 

佳期猶渺渺

佳期(かき)は猶(な)お渺渺(びょうびょう)たり

[よい時節はそうなのに遥か遠く微かだ]

 

不結同心人

同心の人と結ばずして

[心を合わせる人とはつながらず]

 

空結同心草

空(むな)しく同心の草を結ぶ

[いたずらに心を合わせる草をつなぐ]

 

 

■注目点

巧みさに注目。

巧みさの一つは擬人法。風に散る花を老いゆく女に譬える。女の命は若さ、美しさ。若さと美しさが消え行く。女は気をもみ苛立つ。愛する恋人に会いたい。会いたい日はままならず、手が届かない。時ばかり経ち、女は日に日に気をもみ苛立つ。擬人法で切なくいとおしい女心を詠む巧みさ。

巧みさの一つは結同心人と結同心草の対応。結同心は同心結びのこと。同心結びとは、二本の紐を輪にして解けないように固く結ぶことから、男女の情愛の堅さ、夫婦の堅い契りに譬える。愛する恋人とはつながることはできず、愛する恋人とは無関係な草をつなぐことで、思いを紛らわす。人と草とを対応させ、切なくいとおしい女心を詠む巧みさ。

 

《PN・帰鳥》