山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

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春に思う

2015.02.27

雪罷枝即青

冰開水便緑

復聞黄鳥声

全作相思曲

 

四六四年生まれの王僧孺(おうそうじゅ)の「春に思う」。

 

■読みと解釈

雪罷枝即青

雪罷(や)めば枝は即(すなわ)ち青く

[雪が止むと草木の枝はすぐに青くなり]

 

冰開水便緑

冰(こおり)開けば水は便(すなわ)ち緑なり

[冰が溶けると谷川の水はすぐに緑になる]

 

復聞黄鳥声

復(ま)た聞く 黄鳥(こうちょう)の声は

[その上に聞こえてくるのは 鴬の鳴き声が]

 

全作相思曲

全(すべ)て相思の曲を作(な)すを

[全て相思相愛の曲となっている]

 

 

■注目点

春の景に注目。

1句目は初春の草木の景。冬の間、雪に覆われ、生気を失っていた草木の枝。雪が溶けた途端、青さが蘇る。青は若さ溢れる色。

2句目は初春の谷川の景。冬の間、冰に閉ざされ、流れが止まっていた谷川の水。冰が溶けた途端、緑が蘇る。緑は心踊る色。

3、4句目は初春の鴬の声。鴬は春告げ鳥。初春の草木、初春の谷川。この景の中で鴬の鳴き声。その声は相思相愛の、雌雄つがいの声。山里全体。愛の大合唱。鴬は耳を楽しませる声。

作者の王僧孺は冬が終わり、春を迎える景を視覚的、色彩的に、更に情的、聴覚的に詠む。

特種でない「春に思う」題をどう詠むか。簡単なようで至難。詩人の力量が問われる。

 

《PN・帰鳥》