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春との別れ

2016.02.26

銜悲攬涕別心知
桃花李花任風吹
本知人心不似樹
何意人別似花離

 

四八七年生まれの蕭子顕(しょうしけん)の「春との別れ」。

 

■読みと解釈
銜悲攬涕別心知
悲しみを銜(ふく)み涕(なみだ)を攬(と)るは別るる心知り
[悲しんだり泣いたりは別れの心が承知し]

 

桃花李花任風吹
桃の花李(すもも)の花は風の吹くに任(まか)す
[桃や李の花は吹く風に任せきり]

 

本知人心不似樹
本(もと)もと知れり人の心は樹(き)に似ざるを
[人の心が樹に似ていないことは承知していたが]

 

何意人別似花離
何ぞ意(おも)わん人の別るるは花の離るるに似るとは
[人の別れが散る花に似ているとは承知していなかった]

 

■注目点
どこに春との別れを思うのかに注目。
語句として別れ、心、知る、花、人、似るのくり返し。このくり返しに、春との別れを見ることができる。
別れの心が知っているのは、悲しみと涕。人の別れは散る花に似ている。春との別れは、悲しみや涕は勿論、花が散ることも。桃や李の花は、吹く風に任せきりで、散りゆく。花は人の心だが、樹は人の心ではない。花が散ることは、人が別れることと類似。このことは、承知していなかった。新発見。
自然界の現象と人間界の現象を重ね、ここに春と別れる思いを詩にする。理屈っぽい感じがしないでもない。

 

《PN・帰鳥》