山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

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易水を渡る

2015.07.17

風蕭蕭兮易水寒

壮士一去兮不復還

 

紀元前二二七年に死んだ、衛(えい)の荊軻(けいか)の「易水(えきすい)を渡る」。

 

■読みと解釈

風蕭蕭兮易水寒

風蕭蕭(しょうしょう)として易水寒し

[風はもの寂しく吹き易水は寒々している]

 

壮士一去兮不復還

壮士(そうし)一たび去りて復(ま)た還(かえ)らず

[壮士たる者いったんこの地を去るともはや戻ることはない]

 

 

■注目点

壮士の心情に注目。

壮士とは意気盛ん勇士。勇士の名はこの詩の作者荊軻。

易水は川の名。今の北京近く、北方を流れる川。

勇士なる荊軻は今、易水にいる。易水にいるのは荊軻だけではない。衛の皇太子丹(たん)とその側近及び友人の高漸離(こうぜんり)。皆な喪服を着ている。

喪服を着た連中が、衛から秦(しん)へ行く荊軻を見送る。荊軻が秦へ行く目的は、丹に頼まれ、秦の王(後の始皇帝)を殺すため。

旅立つ易水には風がビュービュー吹き、水はヒヤリと冷たい。

寒々とした中、勇士の荊軻は秦の王を殺すために、易水を立つ。いったんこの地を去ってしまえば、もはや戻ることはない。

なぜ戻ることはない? 荊軻は暗殺者だから。暗殺者は一人必殺。最期は自死する。それが暗殺者の使命。

易水を立ち、秦へ着いた荊軻。短刀で秦の王を追うが、殺すことができず、逆に捕まり殺される。最期のひと言「事が成らなかったのは、秦の王を生け捕りにし、皇太子の丹へ渡したかった」と。

 

《PN・帰鳥》