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早春

2018.09.14

天街小雨潤如酥

草色遥看近卻無

最是一年春好処

絶勝煙柳満皇都

 

七六八年生まれの韓愈(かんゆ)の「早春」。

 

■読みと解釈

天街小雨潤如酥

天街(てんがい)の小雨は潤(うるお)いて酥(そ)の如(ごと)し

[大通りに降る小雨がミルクのように辺りを潤し]

 

草色遥看近卻無

草色をば遥(はる)かに看るも近づけば卻(かえ)って無し

[草の色どりは遠くは確かに見えるが近くでは見えない]

 

最是一年春好処

最も是(こ)れ一年の春の好(よ)き処(とき)にして

[この景は一年の春の内で最高に快い時で]

 

絶勝煙柳満皇都

絶(はなは)だ煙柳(えんりゅう)の皇都(こうと)に満つるより勝(まさ)れり

[霞の掛かった柳が首都に満ち溢れているより遥かによい]

 

 

■注目点

「早春」の注目点に注目。

早春は晩冬の後の季節。晩冬と言えば寒くて寒くてならぬ。寒さが残るのが早春。陰暦一月。春とはいえまだ冬。その早春を詠むのだが、韓愈は誰もが注目せぬ所に注目する。

例えば大通りに降る小雨をミルクに譬える。例えば遠くの景と近くの景の微妙な違いに注目する。例えば遠くの草の色どりは見えるが、近くの色どりは見えない。

従来の詩人が注目しなかった所に注目する新発見。完成品より未熟品。未熟さにこそ価値があるとする。それを詩に詠む。ここに注目。

 

《PN・帰鳥》