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早に白帝城を発す

2012.06.15

朝辞白帝彩雲間
千里江陵一日還
両岸猿声啼不尽
軽舟已過万重山

 

七〇一年生まれの李白の「早(つと)に白帝城(はくていじょう)を発す」。早は早朝。白帝城は四川(しせん)省にある街。発は出発。

 

■読みと解釈
朝辞白帝彩雲間
朝(あした)に辞す白帝彩雲(さいうん)の間(かん)
[朝早く白帝城が朝焼けのころ別れを告げ]

 

千里江陵一日還
千里の江陵(こうりょう)一日にして還(かえ)る
[千里先の江陵まで一日でもどって来た]

 

両岸猿声啼不尽
両岸の猿声は啼(な)いて尽(つ)きざるに
[左右の岸で猿の啼き声が終わらぬうちに]

 

軽舟已過万重山
軽舟(けいしゅう)は已(すで)に過ぐ万重(ばんちょう)の山
[軽やかな舟が一気に幾重にも重なった山々を通過した]

 

 

■注目点
詩の巧みさに注目。
技法としては、千里、一日、両岸、万重の千、一、両、万の数詞を巧みに詠む。
内容としては、一日のうちの最も早い早朝に出発し→千里の距離を一日で還る→軽舟が万重の山を一気に下ると言い、明るくて喜びに満ち、浮き浮きした思いを巧みに詠む。
問題は三句目の猿の啼き声。断腸の思いがする。それが猿の啼き声。明るくて浮き浮きしている詩に、哀しい猿の啼き声を詠む意図は何か。
猿が哀しく啼き終わる前に、短時間のうちに千里先の江陵へもどる。舟の軽快さを表すために逆手に取り、巧みに詠む。

 

《PN・帰鳥》