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方外上人を送る

2017.04.21

孤雲将野鶴

豈向人間住

莫買沃洲山

時人已知処

 

七〇九年頃生まれの劉長卿(りゅうちょうけい)の「方外上人(ほうがいしょうにん)を送る」。方外上人とは超越した僧侶。

 

■読みと解釈

孤雲将野鶴

孤雲は野鶴を将(おく)る

[ちぎれ雲が野に住む鶴を見送ります]

 

豈向人間住

豈(あ)に人間(じんかん)に向きて住まんや

[俗世間に住むことができないのです]

 

莫買沃洲山

沃洲(よくしゅう)の山を買うこと莫(な)かれ

[沃洲の山を買ってはなりません]

 

時人已知処

時の人は已(すで)に知る処(ところ)なり

[今の世の人はとっくに知っている所です]

 

 

■注目点

超越した僧侶の送り先に注目。

この詩の題材は孤雲、野鶴、沃洲山の三つ。孤雲(ちぎれ雲)が、野鶴(野に住む鶴)を見送る。孤雲を作者自身に、野鶴を超越した僧侶に見立てる。

この見立ては、作者も僧侶も超越者。超越者の作者が超越者の僧侶を見送る。どこへ見送るのか。見送り先は沃洲山。沃洲山は長江下流にある山。禅寺のある山。

沃洲山は超越した山だが、買ってはならぬと忠告する。なぜ忠告する。沃洲山は今や超越した山ではなく、俗化した山。世俗に染まり、煩わしく不自由な山。僧侶が住む山ではない。今の世の人はみな知っている。

 

《PN・帰鳥》