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新市の徐公店に宿る

2011.06.03

籬落疎疎一逕深
樹頭新緑未成陰
児童急走追黄蝶
飛入菜花無処尋

 

「新市(しんし)の徐公店(じょこうてん)に宿る」。新市は街の名。南京付近か。徐公店は徐という人の店であろう。作者の楊万里(ようばんり)は一一二七年生まれ。

 

■読みと解釈
籬落疎疎一逕深
籬落(りらく)は疎疎(そそ)として一逕(いっけい)は深く
[垣根はまばらで小道が一本奥深く通じ]

 

樹頭新緑未成陰
樹頭は新緑なるも未だ陰(かげ)を成さず
[樹の天辺は新緑だがまだ影はよう成さない]

 

児童急走追黄蝶
児童は急ぎ走りて黄蝶(こうちょう)を追えば
[子どもたちが黄色い蝶を小走りに追っかけると]

 

飛入菜花無処尋
飛んで菜(な)の花に入れば尋ぬる処(ところ)無し
[蝶は菜の花畠に飛びこんで何処にいるかわからない]

 

 

■注目点
徐公店は宿る所だから宿屋だろう。宿屋付近の風景に注目。
垣根があるが、整っておらずまばら。小道が一本、遠くまで続いている。いかにも農村の風景です。
樹木は新緑だが、日影を作るほどではない。晩春か初夏の風景です。
宿屋付近には菜の花畠がある。見ると、子どもたちが蝶を追っかけている。小走りに。
蝶が菜の花畠に逃げこんだ。子どもたちは追っかける。見つからない。蝶も菜の花も同じ黄色だから。のどかな風景です。
今晩、こんな風景の宿屋に泊まるのです。

 

《PN・帰鳥》