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斉州にて祖二を送る

2014.11.28

送君南浦涙如絲

君向東州使我悲

為報故人憔悴尽

如今不似洛陽時

 

六九九年生まれの王維(おうい)の「斉州(せいしゅう)にて祖二(そに)を送る」。斉州は山東省の地。祖二は祖某。名は不明。

 

■読みと解釈

送君南浦涙如絲

君を南の浦にて送れば涙は絲(いと)の如(ごと)く

[君を南の水辺で見送ると涙が絲のように流れ落ち]

 

君向東州使我悲

君は東の州に向かい我をして悲しましむ

[君は東の州へ向かって行き私を悲しませる]

 

為報故人憔悴尽

為(ため)に報ぜよ故人は憔悴し尽くし

[東の州の人に告げてくれ 王維はすっかり憔悴し]

 

如今不似洛陽時

如今(じょこん)は洛陽(らくよう)の時に似ずと

[今現在は洛陽にいた時のようではないと]

 

 

■注目点

祖二を見送る王維の心情に注目。

王維が祖二を見送る地は斉州の南の水辺。斉州は王維が左遷された地。左遷される前は洛陽にいた。祖二の行く先は東の州の洛陽。

かつていた洛陽へ行く祖二を見送る王維。目には涙。絲のように流れ続ける涙。

祖二の洛陽行きは栄転か。王維の目には涙はなく、心中の悲しみだけ。涙は目に見えるが、悲しみは見えない。

洛陽に着いたら、洛陽の人に告げてくれ。かつての王維は溌刺としていたが、今の王維は憔悴しきっていると。

祖二との別れを悲しむ王維。左遷されたわが身を悲しむ王維。二つの悲しみを詠む王維。

 

《PN・帰鳥》