山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

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折楊柳

2015.03.27

水辺楊柳麹塵絲

立馬煩君折一枝

惟有春風最相惜

殷勤更向手中吹

 

七七〇年頃生まれの楊巨源の「折楊柳」(せつようりゅう)。楊も柳もやなぎ。

 

■読みと解釈

水辺楊柳麹塵絲

水辺の楊柳は麹塵(きくじん)の絲

[水辺の楊柳は薄黄色の新芽新枝を出し]

 

立馬煩君折一枝

馬を立て君を煩わして一枝を折る

[馬を立たせ君を煩わせて一枝を折る]

 

惟有春風最相惜

惟(た)だ春の風の最も相(あ)い惜しむ有りて

[ただ春の風だけが折られた一枝を惜しみ]

 

殷勤更向手中吹

殷勤(いんぎん)に更に手の中に向かって吹くのみ

[ねんごろに何度も一枝を持つ君の手の中に吹いている]

 

 

■注目点

楊柳の役割に注目。

題の「折楊柳」は楊柳を折る。折った楊柳は、曲げて別れ行く人へ送る。曲げた楊柳は、何時か直になる。直になる。それは再会を期する象徴。

作者の楊巨源は馬に乗った君を馬から下ろし、新芽新枝の楊柳を一枝折らせた。再会の象徴の一枝。それを折ったのは別れ行く君。折らせたのは作者。

折られた一枝の楊柳。春の風が一枝を持つ君の手に向かい、何度も何度もねんごろに吹く。春の風は別れの象徴の一枝。それがいとおしくてならない。別れが辛く悲しくてならない。

作者は別れ行く人への深い深い思いを、春の風に託して詠んだ。ねんごろに吹く。何度も吹く。並み並みならぬ作者の思い。

 

《PN・帰鳥》