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戯れに趙使君の美人に贈る

2018.12.28

紅粉青蛾映楚雲

桃花馬上石榴裙

羅敷独向東方去

謾学佗家作使君

 

七〇八年に死去した杜審言の「戯れに趙使君(ちょうしくん)の美人に贈る」。趙使君の経歴は不詳。

 

■読みと解釈

紅粉青蛾映楚雲

紅粉(こうふん)の青蛾(せいが)は楚(そ)の雲に映じ

[紅と白粉と青い眉の美人は楚国の雲に照り映え]

 

桃花馬上石榴裙

桃花馬(とうかば)の上にて石榴(せきりゅう)の裙(くん)なり

[赤ばんだ桃花馬の上で赤い石榴のスカートを着ている]

 

羅敷独向東方去

羅敷(らふ)は独り東方に向かって去り

[羅敷はただ独り東の方角に向かって去って行き]

 

謾学佗家作使君

謾(みだ)りに佗家(たけ)に学んで使君と作(な)らん

[ふざけてよその家にまねて長官となろう]

 

 

■注目点

本詩の面白さに注目。

本詩の面白さは詩題の「戯れに」にある。ふざけて、おどけて、作った詩。遊び半分の作。何処が「戯れ」ているのか。一つは詩題の美人を戦国時代の羅敷と重ねていること。一つは羅敷に恋慕した趙の使者を趙使君と重ねていること。一つは作者の杜審言を趙使君に重ねていること。

道端で桑を摘んでいた羅敷を見た趙の使者が恋慕したところ、羅敷は「貴殿には奥様が、私には夫がいます。夫は千余騎の総大将です」と言い、拒否する。

杜審言はなれる筈もないのに、趙の使君をまね私も使君となろうと言う。

複雑な「戯れ」三つ。お判りでしょうか。

 

《PN・帰鳥》