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成徳の楽

2019.01.25

趙女乗春上画楼

一声歌発満城秋

無端更唱関山曲

不是征人亦涙流

 

生没年不詳の唐の詩人王表(おうひょう)の「成徳(せいとく)の楽」。成徳は楽曲名だが、内容は不明。

 

■読みと解釈

趙女乗春上画楼

趙(ちょう)の女は春に乗じて画楼(がろう)に上り

[趙の女は春の季節に誘われ絵のような高殿に上り]

 

一声歌発満城秋

一声(いっせい)にして歌発(はっ)すれば満城は秋なり

[ひと声歌を歌った瞬間街中が秋の季節になった]

 

無端更唱関山曲

端(はし)無く更に関山の曲を唱(うた)えば

[予告もなく不意に更に関山の曲を歌うと]

 

不是征人亦涙流

是(こ)れ征人ならざるも亦(ま)た涙は流る

[出征兵士でなくても涙が流れて仕方ない]

 

 

■注目点

美人の行動に注目。

本詩の主人公は趙の女。美人。美人は春の季節に高殿に上る。何のために上るのか。遠くに誰かいるのか。誰と美人はどんな関係?

高殿に上った美人はひと声発する。途端に季節が春から秋へ変わる。楽しさから寂しさへ。変わった途端、予告もなく不意に歌う。関山の曲を。関山は外敵と戦う兵士の居所。その曲を聞く兵士は、古里を思い出し、涙を流す。兵士でなくても、街中の人皆な涙を流している。

この美人はどんな女。夫は兵士か。兵士の夫を思い、高殿に上り、関山の曲を歌う。

季節の変化は心情の変化。巧みな発想である。

 

《PN・帰鳥》