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息子に示す

2017.07.28

死去元知万事空

但悲不見九州同

王師北定中原日

家祭無忘告乃翁

 

一一二五年生まれの陸游(りくゆう)の「息子に示す」。

 

■読みと解釈

死去元知万事空

死去すれば元(もと)より知れり 万事(ばんじ)空(むな)しきを

[死んでしまえば万事終われりと充分承知している]

 

但悲不見九州同

但(た)だ悲しむは九州の同じきを見ざるを

[ただ悲しいのは中国全土統一を見ることができぬことを]

 

王師北定中原日

王師(おうし)北のかた中原(ちゅうげん)を定むる日には

[天子の軍隊が北方の中原地帯を平定したその日には]

 

家祭無忘告乃翁

家祭(かさい)し忘るる無かれ 乃翁(だいおう)に告ぐるを

[一家の祭りをしてわしに報告することを忘れてはならぬぞ]

 

 

■注目点

息子に何を示したのかに注目。

本詩製作時。作者陸游86歳。息子6人。長男62歳。六男32歳。

息子6人に示したのは遺言か。死去す、但だ悲しむ、家祭、乃翁に告ぐ。これらの語がそう思わせる。

6人の息子に示したのは、天下不統一を痛み悲しみ、死後の事を息子たちに託す、悲哀に満ちた父親の深刻な表情を想像する。

南宋の愛国詩人、憂国詩人陸游。人生総決算の詩。天下統一はなったのか。陸游の死去25年後、南宋は元に滅ぼされ、陸游の遺言は成就しなかった。

 

《PN・帰鳥》