山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

お問い合わせはこちら

復た愁う

2013.06.07

万国尚防寇

故園今若何

昔帰相識少

早已戦場多

 

七一二年生まれの杜甫。「復(ま)た愁う」。何度も何度も愁える。

 

■読みと解釈

万国尚防寇

万国は尚(な)お寇(こう)を防ぐに

[国を挙げて今なお外敵を防いでいるが]

 

故園今若何

故園は今(いま)若何(いかん)ぞ

[古里は今どうなっているだろう]

 

昔帰相識少

昔帰りしとき相識(そうしき)少なかりしは

[昔帰ったとき顔見知りが少なかったのは]

 

早已戦場多

早く已(すで)に戦場の多かりき

[その時はもはや戦う場が多かったのだ]

 

 

■注目点

何度も何度も何を愁うのか。ここに注目。

万国は国中。国を挙げて外敵を防いでいるとは、国家は戦争中。故園は今どうかと心配するが、国家の一部だから、故園も戦争中。

この二句では国家も故園も、今現在なお戦争中であることを愁えている。

次の二句は昔も戦争中であったことを愁えている。

昔。故園に帰ったことがあったが、顔見知りが少なかった。もっといたはずなのに、少なかった。あちこちの戦場に駆り出されていたのだ。

昔から今に至るまで、戦争は続いている。戦争が続くということは、兵士が死ぬということ。兵士だけではない。兵士の家族も、国家も、故園も、何もかも死ぬ。杜甫は何度も何度も愁えるのです。尽きることなく愁えるのです。

 

《PN・帰鳥》