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従軍して北征す

2011.02.11

天山雪後海風寒
横笛偏吹行路難
磧裏征人三十万
一時回首月中看

 

作者は七四八年生まれの李益(りえき)。題は「従軍して北征す」。北征は北方の外敵を征伐する。

 

■読みと解釈
天山雪後海風寒
天山(てんざん)の雪後は海風寒く
[天山山脈に雪の降った後は湖から吹きつける風が冷たく]

 

横笛偏吹行路難
横笛偏(ひと)えに吹く行路難(こうろなん)
[横笛でしきりに「行路難」の曲を吹いている]

 

磧裏征人三十万
磧裏(せきり)の征人は三十万
[砂漠の中にいる三十万の出征兵士たちは]

 

一時回首月中看
一時に首(こうべ)を回(めぐ)らして月中に看る
[同時に後ろをふり向いて月の光を見つめている]

 

 

■注目点
三十万の出征兵士は月の中に何を看たのか。注目点はここ。
天山山脈は中国西方にそびえたち、辺りは砂漠地帯。そこに外敵を征伐する兵士が三十万いるのです。
天山山脈に降った雪の晴れ間の冷たい北風。そこに聞こえてきたのが、誰が吹くのか横笛の音。曲は「行路難」。曲調は旅路の苦難。
砂漠にいる三十万の兵士。その曲に耳を傾けます。そのとき空には月。三十万の兵士は、時を同じくして、後ろをふり向き、その月をじっと看るのです。
三十万の兵士。一人ひとり、何を看たのでしょうか。

横笛の音の方向?古里への道?何を看たのでしょう。

 

《PN・帰鳥》