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張氏の塞下の曲に唱和する

2016.05.20

月黒雁飛高
単于夜遁逃
欲将軽騎逐
大雪満弓刀

 

七四八年生まれの盧綸(ろりん)の「張氏の塞下(さいか)の曲に唱和する」。張氏は不詳。塞下は要塞の側。

 

■読みと解釈
月黒雁飛高
月は黒く雁の飛ぶこと高く
[月は黒く雁は高く高く飛んでおり]

 

単于夜遁逃
単于(ぜんう)は夜に遁逃す
[匈奴(きょうど)の王は夜中は遁走するのだ]

 

欲将軽騎逐
軽騎を将(ひき)いて逐(お)わんと欲するに
[勇猛な騎馬兵を統率し匈奴を追ったが]

 

大雪満弓刀
大雪は弓刀(きゅうとう)に満てり
[大雪が弓や刀に降り積もってしまった]

 

■注目点
匈奴と戦う漢民族の兵士に注目。
匈奴は中国北方を根拠とする、漢民族を脅かす遊牧民族。匈奴の兵士は有利だと思えば前進し、不利だと思えば後退する。遁走することは恥ともしない。満月の時は戦うが、新月の時は遁走する。これが匈奴の戦法。匈奴の兵士を統率する王。それを単于と称する。

匈奴の兵士と戦うのが、漢民族の兵士。勇猛果敢、一騎当千の騎馬兵。遁走する匈奴の兵士を追う漢の騎馬兵。
騎馬兵の手には弓と刀。白兵戦用の武器。その武器に激しい雪。まっ暗闇の中、方角も判らず、寒さに震え、武器も使えず、身動きも取れず、立ち往生の騎馬兵。

匈奴と漢民族の戦いは、紀元前からのこと。

 

《PN・帰鳥》