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延平の剣潭に題す

2018.06.29

想像精霊欲見難

通津一去水漫漫

空余昔日凌霜色

長与澄潭白日寒

 

七九八年生まれの欧陽詹(おうようせん)の「延平(えんぺい)の剣潭(けんたん)に題す」。延平は福建省の地名。剣潭は淵の名。題は壁に書きつける。

 

■読みと解釈

想像精霊欲見難

精霊(せいれい)を想像し見んと欲するも難(かた)し

[精霊を見ようと精霊を想像するが難しい]

 

通津一去水漫漫

通津(つうしん)より一(ひと)たび去れば水は漫漫(まんまん)たり

[精霊が淵から去った後は水が漫々と流れている]

 

空余昔日凌霜色

空(むな)しく昔日(せきじつ)の霜を凌(しの)ぐ色を余(のこ)して

[精霊は寂しく昔の霜を凌駕する光沢を残し]

 

長与澄潭白日寒

長(とこし)えに澄潭(ちょうたん)と与(とも)にし白日(はくじつ)は寒し

[精霊は永久に清く澄んだ淵と同じく真昼も寒い]

 

 

■注目点

精霊の実体に注目。

この詩の鍵は精霊。精霊とは物の怪。物の怪の実体は剣。延平の淵なる剣潭で二つの剣を手に入れた者が、一つは自分が持ち、一つは友にやった。友は夫の剣をもらったが、対になる妻の剣が欲しいと言い、死んでしまった。後に夫妻の剣は二つの龍に化した。

作者の欧陽詹は龍に化した剣、物の怪と化した剣、精霊を見たい。見たいがゆえにあれこれ想像する。だが見ることはできない。その思いを壁に書きつける。

 

《PN・帰鳥》