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幽州の台に登る歌

2014.01.24

前不見古人

後不見来者

念天地之悠悠

独愴然而涕下

 

六六一年生まれの陳子昂(ちんすごう)の「幽州(ゆうしゅう)の台に登る歌」。幽州は今の北京近郊の地。

 

■読みと解釈

前不見古人

前に古人を見ず

[(私は自分より)前に死んでしまった人には会えない]

 

後不見来者

後に来者を見ず

[(私は自分より)後に生まれて来る人には会えない]

 

念天地之悠悠

天地の悠悠たるを念(おも)えば

[天地自然の悠悠たる時空を思い続けると]

 

独愴然而涕下

独(ひと)り愴然(そうぜん)として涕(なみだ)下る

[独りぼっち悲しくなり涙が落ちてくる]

 

 

■注目点

なぜ泣いたのか。泣いたわけに注目。

幽州は地名ですが、幽の字には暗いイメージがある。その地の見晴らし台に登り、こんな歌を詠んだのです。

自分より前の過去の人、自分より後の未来の人。その人に私は会うことはできない。そう言います。言われてみれば、そうです。

なぜ会うことができぬ。陳子昂は言います。天地自然は悠悠。遥かにして広い。それに対して人間の生命は短くて早い。

人間の生命が短くて早いのは、陳子昂だけではない。誰しも短くて早いのです。過去の人も、未来の人も、誰しも短くて早いのです。

そう思い続けると悲しくなり、止めどもなく涙が落ちるのです。

五字と六字の不揃いは、悲しみの現れ!

 

《PN・帰鳥》