山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

お問い合わせはこちら

己亥の歳

2013.02.15

沢国江山入戦図
生民何計楽樵漁
憑君莫話封侯事
一将功成万骨枯

 

九〇一年に亡くなった曹松(そうしょう)の「己亥(きがい)の歳」。己亥は八七九年のことで、この年の出来事を詠んだ詩。

 

■読みと解釈
沢国江山入戦図
沢国(たくこく)の江山は戦図(せんと)に入る
[水郷地帯の川や山も戦場になってしまった]

 

生民何計楽樵漁
生民は何の計ありて樵漁(しょうりょう)を楽しまん
[人民はどんな方策で木を伐り魚を捕ることを楽しめばいいのか]

 

憑君莫話封侯事
君に憑(よ)らん 話(かた)る莫(な)かれ 封侯(ほうこう)の事を
[君たちに頼みたい 諸侯になった事を誰にも語らぬように]

 

一将功成万骨枯
一将(いっしょう)功成って万骨(ばんこつ)枯る
[一人の将軍の功績が成ると多くの人が死ぬのだから]

 

 

■注目点
この詩の主題に注目。
八七九年。水郷地帯が戦場になった。川も山も巻き込み、戦場になった。
川で魚を捕り暮らすのが漁師。山で木を伐るのが樵(きこり)。川も山も戦場に巻き込まれ、人々は生きていくことができない。
作者は訴える。諸侯になったことを誰にも語るな。将軍が功績を挙げ、諸侯に取り立てられる裏では、多くの人が犠牲になるのだ。
人間の命を奪う戦争を糾弾し、功績を称える戦争を糾弾する。主題はここにあるのではないでしょうか。

 

《PN・帰鳥》