山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

お問い合わせはこちら

崔隠者の林亭に書きつける詩

2015.09.04

緑樹重陰蓋四隣

青苔日厚自無塵

科頭箕踞長松下

白眼看他世上人

 

六八九年生まれの王維(おうい)の「崔(さい)隠者の林亭(りんてい)に書きつける詩」。崔は姓。名は不明。林亭は林の中の小屋。

 

■読みと解釈

緑樹重陰蓋四隣

緑の樹の重なる陰(かげ)は四隣を蓋(おお)い

[緑の樹木の深く濃い影は辺り一面を覆い]

 

青苔日厚自無塵

青き苔は日に厚くして自(おのずか)ら塵無し

[青々とした苔は日ごとに分厚く塵は自然になくなる]

 

科頭箕踞長松下

科頭(かとう)にして長松の下に箕踞(ききょ)し

[高い松の木陰で頭巾も被らず両足を投げ出し]

 

白眼看他世上人

白眼にして他(か)の世上の人を看る

[白い眼つきであの世俗の連中を見つめている]

 

■注目点

隠者の暮らしに注目。

隠者の暮らしは小屋。小屋は林の中にある。林の中は樹と苔。

数百、数千の樹木は、小屋は勿論、辺り一面を覆っている。あるがままの林。世俗を断ち切った暮らしです。

樹木に覆われ、陽が射さぬ青い苔は、日々厚さを増し、風は勿論、人の通らぬ、世俗を断ち切った暮らしです。

ここに暮らす隠者は、世俗の作法を無視し、頭巾を被らず、両足を投げ出し、白眼で人々を見やる。無礼千万。

王維は世俗と断ち切った隠者の暮らしを礼賛し、この詩を作り小屋に書きつけたのです。

 

《PN・帰鳥》