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崔融を送る

2016.09.09

君王行出将

書記遠従征

祖帳連河闕

軍麾動洛城

旌旗朝朔気

笳吹夜辺声

坐覚烟塵掃

秋風古北平

 

七〇八年に没した杜審言(としんげん)の「崔融(さいゆう)を送る」。崔融は本詩では書記の役。秘書官。

 

■読みと解釈

君王行出将

君王は行くゆく出でて将(しょう)たるに

[天子は大将として征伐に行かれると]

 

書記遠従征

書記は遠く征に従う

[秘書官が遥か遠く征伐に従う]

 

祖帳連河闕

祖帳(そちょう)は河闕(かけつ)に連なり

[平安を祈る幕は河闕まで続き]

 

軍麾動洛城

軍麾(ぐんき)は洛城を動かす

[兵士を指揮する旗は洛陽城を震わす]

 

旌旗朝朔気

旌旗(せいき)は朝には朔気(さくき)

[大将の旗は朝方には北方の寒気に靡き]

 

笳吹夜辺声

笳吹(こすい)は夜には辺声

[外敵の吹く笛は夜には辺境の声となる]

 

坐覚烟塵掃

坐(そぞ)ろに覚ゆるは烟塵(えんじん)の掃(はら)われ

[心そわそわ思われるのは外敵が一掃され]

 

秋風古北平

秋風には古の北平(ほくへい)を

[秋風の吹く頃には昔の北平の地を奪還していることを]

 

 

■注目点

崔融を送る作者の思いに注目。

本詩は外敵征伐のために出陣する間際を詠む。大将は君王。部下として書記。秘書官の崔融が送られる詩。

資料によると、君王は天子ではなく、権勢を誇った武攸曁(ぶゆうき)で、外敵は東北部の契丹(きったん)。

出陣に当たっては道祖神を祭り、送別の宴を開き、前途の平安無事を祈る。宴の幕は河闕まで延々と続く。河闕は洛陽の南の地。指揮する旗を武攸曁が手にすれば、洛陽の街を揺り動かす。全軍、旗の下に一致団結する。

北方の寒気に靡く自軍の旗。辺境に響く契丹の笛。戦う兵士の気力、意気を励まし、失わせる景。

出陣間際、作者は従軍する秘書官崔融に期待する。外敵契丹を一掃し、侵入された北京一帯の、北平の地を奪還し、凱旋せんことを。

 

《PN・帰鳥》