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岳陽楼にて重ねて王八員外の長沙に貶けらるるに宴りし別る

2019.03.15

江路東連千里潮

青雲北望紫微遥

莫道巴陵湖水闊

長沙南畔更蕭条

 

 七一八年生まれの賈至(かし)の「岳陽楼(がくようろう)にて重ねて王八員外(おうはちいんがい)の長沙(ちょうさ)に貶(しりぞ)けらるるに宴(さかも)りし別る」。岳陽楼は湖南省の高殿。王は姓。名は不明。八は一族で年齢が八番目。員外は輔佐役。長沙は湖南省の地名。

 

読みと解釈

江路東連千里潮

 江路(こうろ)は東のかた千里の潮(うしお)に連なり

 [長江の水路は東方の千里先の海水に繋がっており]

 

青雲北望紫微遥

 青雲をば北のかた望めば紫微(しび)は遥かなり

 [青い雲を北の方角に眺めると王宮は遥か彼方]

 

莫道巴陵湖水闊

 巴陵(はりょう)の湖水は闊(ひろ)しと道(い)う莫(な)かれ

 [巴陵の洞庭湖の水は広々していると口にしてはならぬ]

 

長沙南畔更蕭条

 長沙は南畔(なんはん)にして更に蕭条(しょうじょう)たり

 [長沙は洞庭湖の南の果てでいよいよもの寂しいのだ]

 

 

注目点

 用語の巧みさに注目。この詩は長江、紫微、洞庭湖、巴陵、長沙。これら固有名詞を巧みに使い、左遷される王の心境を察して詠む。

 長江の流れは東へ、紫微は北へ、長沙は南へ。王の心境を多方向に詠む。これに加えて千里、遥かの語で心境を距離で詠み、更に心境語の蕭条を用いる。左遷される用語の用い方が巧みである。

 

《PN・帰鳥》