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山間の秋の夜

2011.09.30

夜色秋光共一闌
飽収風露入脾肝
虚檐立尽梧桐影
絡緯数声山月寒

 

宋の人と言われる真山民(しんさんみん)の「山間の秋の夜」。山間は山あい。

 

■読みと解釈
夜色秋光共一闌
夜色と秋光は共に闌(らん)を一にす
[夜の色と秋の月光は手すりに集まっている]

 

飽収風露入脾肝
飽(あ)くまで風露を収め脾肝(ひかん)に入る
[腹いっぱい風や露を吸い体内に取り入れる]

 

虚檐立尽梧桐影
虚檐(きょえん)は梧桐(ごどう)の影に立ち尽くし
[人の住まぬ家の軒はあお桐でできた影に立ったままで]

 

絡緯数声山月寒
絡緯(こおろぎ)は数声にして山月寒し
[こおろぎが何度か鳴き山にかかった月が何とも寒い]

 

 

■注目点
どこに焦点を当て、山あいの秋の夜を詠むか。焦点に注目。
夜の色、秋の月光、人の住まぬ軒、あお桐、こおろぎ、山にかかった月。ここに焦点を当てています。
手すりに集まる夜の色と月光。山あいに居る作者はこれを見ながら、風と露を腹いっぱい体内に吸いこむ。秋の夜の風と露。それは作者の活動源。
風と露を吸いこみながら目をやると、人の住まぬ軒があお桐の影に立ち尽くしており、こおろぎの鳴き声が聞こえて来る。目を上にやると、山にかかった月が寒々感じられる。これらも活動源。
山あいの秋の夜に当てた焦点を視覚、聴覚、触覚で詠む。作者は世捨て人なのか。

 

《PN・帰鳥》