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山行き

2011.11.18

遠上寒山石径斜
白雲生処有人家
停車坐愛楓林晩
霜葉紅於二月花

 

八〇三年生まれの杜牧(とぼく)の「山行(ある)き」。

 

■読みと解釈
遠上寒山石径斜
遠く寒山(かんざん)に上(のぼ)れば石径(せっけい)は斜めにして
[遠く人気のない山に上ると石の小道は斜めに傾き]

 

白雲生処有人家
白雲生ずる処(ところ)人家有り
[白い雲がわき起こる所には人の住む家がある]

 

停車坐愛楓林晩
車を停(とど)めて坐(そぞ)ろに愛す楓林の晩(くれ)
[車を止めて何とはなしに夕暮れの楓(かえで)の林を愛す]

 

霜葉紅於二月花
霜葉(そうよう)は二月の花よりも紅(くれない)なり
[霜で赤くなった楓の葉は二月の花よりも紅い]

 

 

■注目点
詩の題は、今風に言えば、山中散歩。作者の心境に注目。
時は秋の夕暮れ。霜の降りた厳しい山中。
作者は一人車に乗り、人気のない山に入った。欲望の渦巻く世俗を離れ、欲望を持たぬ自然に溶けこみたい。
石ころ道は難儀だが、車を走らせる。白い雲がたなびき、人家が見えた。こんな所に人が住んでいるのか。住人は仙人か。見えたのは人家だけではない。楓の林が見えた。車を止め二月の花より紅い楓に見入る。
秋の夕暮れの山に入り、白い雲を眺め、紅い楓の葉を見て、ゆったりした気分に浸る作者。いい風景です。

 

《PN・帰鳥》