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山居の雑興

2011.09.16

秋気清寒病骨知
乱蛩声裏欲眠遅
月明半夜誰敲戸
応是山人得好詩

 

一六〇二年生まれの馮班(ふうはん)の「山居の雑興(ざっきょう)」。山住まいの感興あれこれ。

 

■読みと解釈
秋気清寒病骨知
秋気は清寒(せいかん)にして病骨(びょうこつ)知る
[秋の気配は清く冷たく病身だと覚る]

 

乱蛩声裏欲眠遅
乱るる蛩(こおろぎ)の声の裏(うち)に眠らんと欲するも遅し
[あちこちで鳴くこおろぎの声の中眠ろうとするが眠れない]

 

月明半夜誰敲戸
月明らかなる半夜に誰か戸を敲(たた)く
[月が明るい夜中に誰かが戸をたたいている]

 

応是山人得好詩
応(まさ)に是(こ)れ山人(さんじん)の好(よ)き詩を得るなるべし
[きっと山に住む隠者がいい詩ができ(持って来)たのであろう]

 

 

■注目点
注目点はどんな山住まいをしているのか。
作者は病身で山住まいしている。自分が病身であることを、秋の清く冷たい気配で覚ります。清く冷たいのは、秋の気配だけではなく、作者自身がそうなのでしょう。
病身の作者。早く眠りたいが、こおろぎの声で眠れない。眠れないまま時は過ぎ、夜中になった。夜中に戸をたたく音。否応ながら戸を開ける。そこには山住まいの隠者。夜中に何のために。
清く冷たい、月が明るく輝き、こおろぎが鳴く秋の夜。いい詩ができ、持って来たにちがいない。そう思ったのです。

 

《PN・帰鳥》