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山亭の夏日

2010.08.13

緑樹陰濃夏日長
楼台倒影入池塘
水精簾動微風起
満架薔薇一院香

 

連日の猛暑。熱中症で亡くなった人もいます。

熱中症対策にもいろいろあるようですが、「涼を求める」、これも一策。

八二一年生まれの高駢(こうべん)の「山亭の夏日」。山中のあずまやに涼を求めた四行詩です。

 

■読みと解釈
緑樹陰濃夏日長
緑の樹は陰(かげ)濃(こま)やかにして夏の日は長し
[(作者の高駢はいま山の中にいます)山は全体、青葉、若葉の樹木でおおわれ、日陰は青葉、若葉で深く暗く、夏の日は長い]

 

楼台倒影入池塘
楼台は影を倒(さか)しまにして池塘(ちとう)に入る
[あずまやの建物は、建物の影法師を逆さまにして、傍の池に映している]

 

水精簾動微風起
水精(すいしょう)の簾(れん)は動いて微風は起こる
[水晶で作った簾(すだれ)が揺れると、かすかな風が起こる]

 

満架薔薇一院香
満架(まんか)の薔薇(しょうび)は一院に香(かんば)し
[棚いっぱいの薔薇(ばら)は、屋敷いっぱいに香っている]

 

■注目点
使われている漢字は、緑、陰、影、水精、簾、微風、薔薇、香など。いかにも涼しいではありませんか。
簾が動く。それによって微風が起こる。この順序は普通とは逆。この感覚、涼しいではありませんか。
簾が揺れる音。水晶の簾。その向こうが透けて見える景。涼しいではありませんか。

 

《PN・帰鳥》