山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

お問い合わせはこちら

山の店(山の宿)

2010.10.08

登登山路何時尽
決決渓泉到処聞
風動葉声山犬吠
一家松火隔秋雲

 

詩の題は「山の店(山の宿)」。作者は七四八年生まれの盧綸(ろりん)。

 

■読みと解釈
登登山路何時尽
登登たる山路(さんろ)は何(いず)れの時にか尽きん
[登登と上る山道はいつなくなるのか]

 

決決渓泉到処聞
決決たる渓泉(けいせん)は到る処(ところ)に聞こゆ
[決決と流れる谷川の音はあちこちに聞こえる]

 

風動葉声山犬吠
風は葉声(ようせい)を動かし山には犬の吠(ほ)ゆ
[風は葉ずれの音を動かし山では犬が吠えている]

 

一家松火隔秋雲
一家の松火(じょうか)は秋雲を隔(へだ)つ
[一軒屋の松明が秋の雲の向こうにある]

 

 

■注目点
秋の夜、山の中に宿を探す。その情景描写に注目。
登登はかけ声の擬声語。トウトウと声を出し、いつまでも続く山道を登る。決決は水が流れる擬音語。ケツケツと音をたて、谷川は流れる。作者は山の奥へ山の奥へ、わが身を励まし歩き続けます。
やがて、葉を動かす風の音。山で吠える犬の声。音や声が聞こえるのは、辺りが静かな証拠。静けさを破って聞こえる音、声。作者はやや心が休まる。
見ると、秋の雲の向こうに松明。それは一軒屋の宿の明かり。ようやくにして宿発見。
秋の雲と一軒屋の宿。配合が何ともいい。

 

《PN・帰鳥》