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山の中にて俗人に答える

2012.06.01

問余何意棲碧山
笑而不答心自閑
桃花流水窅然去
別有天地非人間

 

七六二年生まれの李白(りはく)の「山の中にて俗人に答える」。俗人は俗世間で暮らす人。

 

■読みと解釈
問余何意棲碧山
余(よ)に問う 何の意ぞ碧山(へきざん)に棲(す)むと
[(俗人が)私にどんな思いで新緑の山奥に棲んでいるのかと問う]

 

笑而不答心自閑
笑って答えず心自(おのずか)ら閑(かん)なり
[(私は)笑って答えない わが心は何もせずして静かなのだ]

 

桃花流水窅然去
桃花流水窅然(ようぜん)として去り
[(答えるとすれば)桃の花を浮かべた水は遥か遠く流れ去り]

 

別有天地非人間
別に天地の人間(じんかん)に非ざる有り
[(そこには)俗世間とは違う静かでのどかな別天地があるのだ]

 

 

■注目点
碧山と別天地との関係に注目。
碧山に棲んでいるのは余。作者の私です。碧山は山奥だから、暮らしには不自由です。俗人は不自由な所にはよう棲まない。だからそんな所に棲んでいるのかと、問うたのです。
私は笑いとばし、その問いを無視します。ただ答えるとすればとして、答えたのが終わりの2句。
桃の花を浮かべた水。水の行く先は別天地。桃は邪気を祓い、長寿の象徴とされていました。その別天地がここ碧山なのです。碧山と別天地は同一地です。
作者の私は俗人ではない。そう思っていたようです。

 

《PN・帰鳥》