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尤渓での旅の途中

2017.08.25

水自潺湲日自斜

尽無鶏犬有鳴鴉

千村万落如寒食

不見人煙空見花

 

八四四年生まれの韓偓(かんあく)の「尤渓(ゆうけい)での旅の途中」。尤渓は中国南方の地。

 

■読みと解釈

水自潺湲日自斜

水は自(おのずか)ら潺湲(かんせん)として日は自ら斜めなり

[水は自然にさらさら流れ太陽は自然に西に沈む]

 

尽無鶏犬有鳴鴉

尽(ことごと)く鶏犬(けいけん)無きも鳴鴉(めいあ)有り

[鶏や犬は全く姿を消したが鳴き烏はいる]

 

千村万落如寒食

千村万落は寒食(かんしょく)の如(ごと)し

[この村もあの村もまるで寒食(火がなく冷たい物を食べる)の日のよう]

 

不見人煙空見花

人煙(じんえん)を見ざるも空(むな)しく花を見る

[炊事の煙は見えないが寂しく花が見える]

 

 

■注目点

言いたい事に注目。

一句目の題材は水と日。用語は共に自ら。水も日も自然のまま動いている。二句目の題材は鶏と犬。用語は無と有の反対語。平和でないことを言う。三句目の題材は千村と万落。用語は共に寒食。平和でないことを言う。四句目の題材は人煙と花。用語は見の字を肯定と否定とに使い分け、平和でないことを言う。

旅の途中通りかかった尤渓は、自然はあるがままに動いているが、人間社会は荒廃し、幽霊村に等しい。

尤渓の地は戦いで踏みにじられた地か。戦争の空しさ、平和の尊さを言わんとするのか。

 

《PN・帰鳥》